YORI *未知 ダイアログ ~Viva La Unica~

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#54 【詩】愛の詩 -2. Summer-

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いつかの太陽も地面を焦がすほどに
じりじりと熱を放っていた
 
あの日、君が何気なく渡してくれた言葉は
僕の中に渦巻くある種の感情を高ぶらせた
 
勘違いとか気のせいとか思い込みとか
いかようにもタグ付けすることは簡単だ
 
しかし、いざ潮風に言葉をのせようとしても
花火の打ち上がる音に掻き消され、空回る
 
砂浜にそっと思いをなぞってみたところで
あっさり波に洗い流され、白紙に舞い戻る
 
 
せつなくないか、夏
 
 
君の横顔に思いつくかぎりのQを並べても
いたって何でもなくふるまう姿に勝手に傷つき
 
それ以上でもそれ以下でもない
極限られた線と線の中に身を寄せて・・
 
 
せつなくないか、夏
 
 
ここで答えを出すことがいかにナンセンスかだなんて
僕も君も痛いほどに自覚している
 
それでも先を急ぐのは、まだ見ぬ世界に
君もいて欲しいからなんだ
 
 
せつなくないか、夏
 
 
星が赤く点滅する夜空は時に無情で
熱気を冷ますように風は肌をさすらう
 
静けさの中にひっそり佇めば、
否が応でもこの気持ちと向き合うしかなく
 
 
せつなくないか、夏
 
 
どんな形をしていたとしても、
この瞬間のこの気持ちは人生を刻み
 
確かに君のことを思っていた夏があったと
いつかの僕に伝言ゲームをするだろう
 
 
せつなくないよ、夏
 
 
二度と同じ瞬間はやってこないから
温度も匂いも音も視線の先も涙の味すらも
 
全て愛おしい記憶として封じ込めれば
いつかの僕はたった一つの夏を愛するだろう